研究概要 |
1.A.a.感染群においては血液、心臓、脾臓において菌の検出がPCRレベルで確認された。血中LPSレベルは、A.a.感染群2.1EU/mlと高い値を示した。 2.A.a.感染群においては、血中CRPや酸化LDL、IL-6,IL-8,TNFα,MCP-1の増加が認められ、更に病変部でのTLR2,TLR4,ICAM-1,E-selectin,P-selectin,LOX-1,HSP60,CCLI9,CCL21,CCR7及びMCP-1遺伝子の発現増加が認められた。組織染色では4HNE、HSP60及びTUNEL陽性を示した。Gene chip解析においては、ERストレスやTh17細胞関連サイトカイン(IL-17,IL-6,IL-23)の増強、Treg細胞関連サイトカイン(IL-10,TGF-β1)の減少が認められた。 3.上記の結果から感染誘発動脈硬化は、酸化ストレスを介して増強されている可能性が示唆された。そこ感染誘発動脈硬化が、抗酸化物質の持続的投与により抑制されるか否かを検討したところ、カテキンの持続的投与により動脈硬化巣の減少が確認された。現在、メカニズムの詳細を検討中である。 4.P.g.40-kDa外膜タンパク質を抗原とし、CpG ODNをアジュバンドとして経口免疫を行った所、P.g.感染による動脈硬化プラークの減少並びに血中CRP値の低下が認められた。 以上の結果から歯周病原細菌感染による動脈硬化の進展には、菌の動脈硬化巣への直接効果のみならず、LPS等の菌体成分の影響も関与し、接着因子や炎症性サイトカイン、ケモカイン、酸化ストレスやHSPの発現に影響を与えていることが示唆された。更に抗酸化物質やワクチン投与がこれらの炎症に基づく動脈硬化機序を抑制し、予防・治療に有効である可能性が示唆された。
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