研究課題/領域番号 |
19390539
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 信博 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60183852)
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研究分担者 |
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
小関 健由 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80291128)
泉福 英信 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (20250186)
佐藤 拓一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (10303132)
坂本 光央 独立行政法人理化学研究所, 微生物材料開発室, 協力研究員 (50321766)
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キーワード | 歯学 / バイオフィルム / メタボローム / 微生物叢 |
研究概要 |
昨年度までに確立したキャピラリー電気泳動(CE)-飛行時間型質量分析計(TOF-MS)を用い、(1)代表的プラーク細菌および(2)実際のヒト・プラークを対象としたメタボローム解析(解糖系、クエン酸回路およびペントースリン酸回路の網羅的代謝中間体解析)を行った。 (1)代表的プラーク細菌のメタボローム解析 各種口腔細菌(Streptococcus、Actinomyces、Lactobacillusなど)の菌懸濁液を作成し、グルコースの添加前後の経時的なメタボローム解析を試みた。グルコース代謝に関して、菌種間で類似点および特徴的な点がそれぞれ観察され、同じ酸産生菌でも代謝経路やその調節機構は異なることが示唆された。解糖系の結果は過去の研究結果と一致する部分が多く、本解析法の信頼性の高さを示しているものこと考えられた。一方、これまでクエン酸回路およびペントースリン酸回路代謝中間体についての知見はほとんどなく、本研究は、口腔細菌がグルコース代謝とともにこれらの回路を実際に利用している可能性を初めて示した。 (2)ヒト・プラークのメタボローム解析 ヒトの歯肉縁上プラークを、グルコース洗口前後に採取し、上記のメタボローム解析を試みた。これまで、試料が少量であるためメタボローム解析は難しいと考えられてきたが、本解析法を用いた結果、少量のプラーク中(10mg前後)からも、解糖系、クエン酸回路およびペントースリン酸回路の各種代謝中間体の同定・定量が可能であることが示された。プラークの糖代謝動態は、前述の口腔細菌の代謝動態に類似しており、実際のプラーク中でも、同様の糖代謝や糖代謝調節が行われていることが示唆された。また、プラークのメタボローム解析結果(メタボロームプロファイル)には個人差が見られたことから、メタボローム解析が個人の口腔微生物叢の代謝活性の指標、さらには口腔健康の指標となる可能性が考えられた。
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