研究課題/領域番号 |
19390544
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
松野 智宣 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (80199827)
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研究分担者 |
佐藤 田鶴子 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40095138)
小俣 和彦 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (00434142)
橋本 典也 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (20228430)
鈴木 哲朗 国立感染症研究所, ウイルス第2部, 室長 (00250184)
佐藤 聡 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (70235357)
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キーワード | 口腔乾燥(ドライマウス) / 唾液分泌障害 / 唾液バイオマーカー / 加齢性変化 / 酸化ストレス / 生活習慣病 / 遺伝子発現 / サイトカイン |
研究概要 |
本研究の目的は高齢者ドライマウスの病態解析である。本年度は30・48・72週齢の自然加齢マウスおよび糖尿病と閉経(卵巣摘出)のモデルマウスの唾液分泌量と顎下腺の病理組織変化およびPCNAやTUNELなどの蛍光免疫組織染色、マイクロアレイによる遺伝子発現変化をGO term解析し、特異的に発現する遺伝子を調べた。また、唾液バイオマーカーとして唾液分泌低下とα-唾液アミラーゼ活性との関連、さらに酸化ストレスおよび抗酸化マーカーとの関連を検討した。その結果、(1)刺激全唾液流量およびα-唾液アミラーゼ活性は、すべてのモデルマウスで有意な減少を認め、刺激全唾液流量とα-唾液アミラーゼ活性とに正の相関を認めた。(2)唾液および血清8-OHdGと血清d-ROMs Testは、すべてのモデルマウスで酸化ストレス度が有意な増加を認め、唾液と血清8-OHdGとに正の相関を認めた。(3)唾液および血清BAP Testでは、自然加齢マウスにおいて抗酸化度が有意な減少を認め、糖尿病マウスでは有意な増加を認めた。さらに、唾液と血清とに正の相関を認めた。(4)顎下腺体内の組織構造変化は、自然加齢および糖尿病マウスの腺体と腺実質細胞に萎縮がみられ、顎下腺重量比も減少したが、卵巣摘出マウスではこのような変化を認めなかった。(5)すべてのモデルマウスの顎下腺体内でPCNA陽性細胞が減少し、TUNEL陽性細胞と8-OHdG陽性細胞の増加を認めた。(6)自然加齢マウスの顎下腺で炎症に関与するRedox関連遺伝子が特徴的な変動を示した。以上、これまでの結果から、高齢者ドライマウスの病態は加齢に伴う全身病態により異なるが、全身とともに唾液腺局所の酸化ストレスの増加により非細菌性の炎症性変化が影響すると考えられた。そのため、唾液をサンプルにした酸化ストレスマーカーの8-OHdGと抗酸化マーカーのBAP Testがその病態把握に有用と思われた。
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