目的: Webの情報に翻弄されず、むしろその情報をより活用できるために、患者・家族・国民のヘルスリテラシーの向上を支援するWebコンテンツを作成・公開・評価することを目的とした。 結果と考察:ヘルスリテラシーを身に付けるサイトとして『健康を決める力』 (http://www.healthliteracy.jp/index.html)を完成させ、2010年11月に公開した。コンテンツは次の6つの内容、1.健康のためには情報に基づく意思決定を、2.「信頼できる情報」とは何か、3.知りたい情報はインターネットで、4.コミュニケーションと意思決定、5.健康を決めるのは専門家から市民へ、6.健康を決めるために市民が出来ることを、からなっている。公開に至る以前に、最初の原稿の段階から、複数の学部生に市民目線で読んでわかりにくいところを指摘してもらい修正するプロセスを繰り返した後、研究代表者が市民向けに行った大学の講義で、受講者30名ほどにサイトを評価してもらい、実際に活用する上での問題点を指摘してもらった。 これまでの国内外の研究成果について身近な例を多くあげて解説したものではあるが、実際に健康情報を探したり、医療者とのコミュニケーションにどう生かすかといった、具体的な場面で使える内容が不足しているという指摘が多かった。また、用語でわかりにくいものについて、用語集としてまとめてあるとよい、全体を概説した入門的なコンテンツがあるとよいという意見もあり、課題として残された。実用的なコンテンツについては、具体的な場面に会わせて学習できるものを、先行する欧米のコンテンツを参考に作成・評価していく必要があると考えられた。 他方、保健医療における情報の意味を、先行研究を踏まえた上で市民の視点から解説したものはこれまでになく、患者中心にエンパワーするために必要な内容という評価も受け、研究の意義や将来の方向性について確認できた。
|