研究課題/領域番号 |
19390559
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森山 美知子 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (80264977)
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研究分担者 |
岡 美智代 群馬大学, 医学部, 教授 (10312729)
大津 美香 弘前大学, 大学院・保健学研究科, 講師 (10382384)
宮薗 夏美 鹿児島大学, 医学部, 講師 (60352465)
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キーワード | Disease Management / 慢性疾患管理 / 医療人類学 / 自己管理 / 教育プログラム / 教材 / エスノグラフィー |
研究概要 |
1. 慢性疾患疾病管理プログラムと教材の開発 2型糖尿病、虚血性心疾患、慢性心不全、慢性腎不全(保存期、透析期)、COPD、乳がんについて、セルフマネジメント患者教育の構造に基づいた教材を開発した。エスノグラフィーの調査結果と診療ガイドラインの推奨内容とを取り込み、エキスパート患者と意見交換を繰り返しながら作成した。手帳を基本とし、面接や電話での指導に活用できるテキスト、そして、療養するために必要な物品のセットとした。教育プログラムは6ヶ月を1クールとし、初回にプログラムの全体の説明とテキストを用いながらの療養指導を行い、その後は、患者の選択した(面接、電話、メール、手紙)等で月1回の継続指導を行った。プログラムの展開は、認知行動療法を用い、手帳を用いてのデータモニタリングで、かかりつけ医からの評価による行動強化を取り入れた。 2. 患者教育を行う看護師用の教育テキストの作成と教育の実施 疾病管理、成人型学習、セルフマネジメント教育、ケースマネジメントの内容を盛り込んだ教育テキストを作成し、患者教育を行う看護師に対して、90分6回の教育を実施した。 3. 臨床試験の実施とプログラムや教材の修正 COPD、慢性心不全について臨床試験を終了した。他の疾患は、現在も実施中である。腎不全では初回面接指導回数を4回に増加することなど、展開方法や教材について修正点が明確になった。 4. 臨床試験の結果 COPDでは、介入群15人と対照群16人を分析対象とした。療養行動は指導直後から6ヵ月後まで高い実施率を維持し、社会活動、ADL、呼吸困難度、SGRQ(QOL尺度)が介入群で有意に改善した。心不全も同様の結果を得たことから、本プログラムは、参加者のセルフマネジメント能力を高め、良好な状態を維持し、社会活動とQOLを高める効果があることが確認された。
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