本年度は、乳児の睡眠分析システムの開発に重点をおき、3つの目標をたてた。 1.生後2、4、7、12週目の母児同室下における乳児の睡眠覚醒状態の映像および動作のデジタルデータを収集、その特徴を明らかにする。2.乳幼児の睡眠覚醒状態のデータを効率よく収集するためのハードウェアの試作とシステムの構築、洗練を行う。3.乳児の睡眠研究者とのネットワークを深め、各研究者間をつなぐプラットホームを立ち上げる。 1.については、昨年に引き続き、生後2週の早期から継続的な乳児の観察分析を行い、デジタル録画として収集することができた。観察から得られた結果、早期乳児の睡眠時間における動睡眠の割合が、これまでのUSAの報告に比して多いことが確認された。 2.については、自動収録部分を中心とした、仕様・基本・詳細設計および実装を行った。仕様設計は、自宅での母児同室睡眠環境下での収録とした。基本設計は、ビデオカメラ画像を中心に、ステレオ音声及び三軸加速度センサ記録を補助情報として同時収録とした。夜間の撮影のため、撮影現場の照明状態によらず一定の画像品質を保持できるように、赤外線LED照明とモノクロカメラを試用した。詳細設計は、ビデオカメラ画像では、実時間での画像処理が可能なKeyence製画像処理装置XG-7000を介して収録し、音声および三軸加速度センサ記録とともに、パーソナルコンピュータにデジタルデータとして記録することとした。今後、アルゴリズムの開発等を含むシステム開発に着手する予定である。上記の機器を使用して、新生児の2夜のデータを収集した結果、機器の実装については、一層の小型化と軽量化を図ることが課題となった。 3.については、The 11^<th> World Association for Infant Mental Health、第49回日本母性衛生学会学術集会等を通じて、乳児の睡眠研究者(神山氏、Mindell氏ら)との意見交換を行い、次年度のプラットホームづくりに向けて足がかりをつくった。
|