研究概要 |
本研究の目的は,畳上および在宅介護用ベッド上での介護動作時の腰背部の負荷,循環動態の負荷,並びに主観的身体疲労感の実態を明らかにすることである。今年度は研究方法を企画し,金沢大学医学倫理委員会の承認(保121)を得た後,測定プロトコルを作成してプレ調査を実施した。主要な介護動作として,おむつ交換,体位変換,平行移動,更衣,清拭,足浴の介護動作を設定した。要介護者役は,高齢者疑似体験シミュレーターを装着して,利き腕側に片麻痺のある要介護高齢者を想定した。 腰背部の負荷を測定するため,筋電計テレマイオ(NORAXON社製)を購入し,介護動作時の腰背部の主動作筋として,左右の腰部脊柱起立筋・腹直筋・外側広筋・内側ハムストリングスの8筋を選出した。プレ調査の結果,畳上とベッド上のいずれにおいても,介護動作時は主として左右の腰部脊柱起立筋と内側ハムストリングスを使用していたことが明らかであった。畳上では一時的に外側広筋の使用がみられた。また,腰痛ベルトを装着した時は異なる筋活動がみられた。 循環動態の負荷を測定するため,筋電計と同時に携帯式自動血圧測定器を装着して介護動作を行った。しかし,常時測定する筋活動量データとの照合が難しく,調査方法の改善が必要であった。主観的身体疲労感を測定するため,Visual Analog Scaleを用いた疲労感調査用紙を作成し,介護動作の前後に調査を行ったが,回答が難しく,回答方法に工夫が必要であった。以上の問題について現在検討を進めている。
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