研究課題
本研究の目的は"身体拘束の廃止"を前提に認知症高齢者の尊厳を支えるための"自立支援"、"その人らしいあり方"などわが国で培ってきた認知症高齢者のケアの質を保証し、Evidenced Based Nursingに基づいた日本型リスクマネジメントを開発、有効性を実証、理論化を行うものである。本年度は初年度であることから文献検討として認知症高齢者対する転倒予防を目的とした多因子介入研究に関するシスティマティク・レビューを実施した。結果として、認知症高齢者含んだ医療・福祉施設での包括的な転倒予防については、転倒リスクマネジメントを中心とした多職種の包括的な転倒予防介入が有効であることが明らかになった。これらの結果は平成20年度の介入研究の方法論を検討するのに重要な内容である。さらに、認知症高齢者が多く居住する高齢者施設で転倒者を予測する認知症高齢者用転倒リスクアセスメントツールの開発と検証を目的に平19年10月〜20年3月まで転倒リスクアセスメントに関する調査を実施した。転倒リスクアセスメントとしては認知症の中核症状(空間認識など)、認知症の行動心理学的症候(BPSD)、身体障害の3領域に着目したリスク項目を選定した。今後、項目の信頼性・妥当性を分析し、検証する予定である。さらに、「認知症高齢者のため転倒リスクマネジメントに関する全国調査」を実施し、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、老人病院における転倒予防マネジメントの実態とよりよいケアを実現するための転倒予防に関する課題を明らかにする。看護師・介護士に対して転倒リスク感性を磨く転倒リスク予測トレーニングの開発としてはKYT危険予知トレーニングを用いて、認知症の中核症状、行動心理学的症候(BPSD)の変化、転倒しやすい生活場面、日常生活動作から転倒を引き起こしやすい身体活動の変化などの教材を検討した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
日本老年医学会雑誌 45(1)
ページ: 68-76
ナーシング・トゥデイ 22(12)
ページ: 6-10
ページ: 74-81