研究課題
1999年8月及び11月に発生した二つの地震の複合災害であるマルマラ地震から8年目を迎えた。被災都市郊外に住宅団地を新規開発する、自己所有建物が全壊した被災者に対する住宅と事業所の「移転復興」は公共事業として完了した。アダパザル市の全壊したサカルヤ県庁舎の郊外移転復興は未だ途上にある。その復興住宅団地では、居住者の生活が落ち着く一方、事業所活動は経営的に困難を極めた現状にある。2007年9月に実施した被災地の現地調査では、被災市街地での「現地復興」は、業務施設(自動車販売などロードサイド系店舗や中心商店街での商業・業務施設)は、震災後の施行された建築制限によって2階あるいは3階建てという低層建物による再建復興が進みつつあるものの、全壊した集合住宅では、都市計画規制強化のもので権利調整ができず補修されないまま放置状態にあり再建のめどが立っていない現状と、一部被災集合住宅が権利を買い集めて再建されている状況を確認することができた。さらに、半壊あるいはそれ以下の被害のため現存している被災建物は個別の補修が進められているものの耐震補強的改修は進まず、その建物補修と取り壊された建物の再建に一体的に取り組み、既成市街地の震災復興を如何に計画的に進めるのか、被災自治体は大きな課題に直面している。そこで、被災市街地の「現地復興」の実施に大きく関わる新大都市自治体制度及び建設関連制度、災害法制度(改定案)について、収集した現地資料の翻訳を進めた。大都市制度の改正によって、大都市自治体への合併的移行が進み、被災時と異なる自治権限委譲が予定され、被災市街地の現地復興が自治体によって異なる展開となることが予想される。また、次の災害に備えて進められた災害法の改訂は議決されていないが、膨大な被害が想定されるイスタンブル地震への災害対応・復興対応を考察するために、改訂法案の翻訳を進めた。
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都市計画 267
ページ: 35-38