研究課題
トルコ・マルマラ地震から9年目の復興状況について、アダパザル市及びデールメンデレ市での現査と、10名の被災者についてそれぞれの住宅・生活及び事業所・仕事の再建・復興プロセスについヒアリング調査を実施した。自己所有していた住宅及び事業所が全壊した被災者を対象に、郊外に復興住宅団地及びそのセンター地区に復興業務ビルを建設するという「移転復興」がこの地震災害の最も特徴的な復興プロセスである。そこでは復興住宅での居住生活の落ち着きに対して、復興業務ビルでは地上階以外の2階、3階で基本的に空家状態が継続しており、当初の移転復興は業務に関しては成功しなかった。他方、本研究のテーマである都市計画的に審査以前の半分の規模しか建物の復興新築が許可されない被災地の「現地復興」では、業務ビル及び区分所有の集合住宅の再建が活発に進んできた。業務ビルの再建事例は、全壊した被災ビルの関係権利者の合意による再建は規模半減規制のため不可能で、有力権利者か全権利を買い取ることで、店舗等を3階建てで再建し、余剰床を賃貸するという再建プロセスが一般化していること、集合住宅では個人またな住宅開発企業が区分所有権利を買い集めて土地権利を個別化し、3階建ての集合住宅を新規建築して分譲するというプロセスでの市街地復興が急速に進展していることが確認された。そこには、被災者ではなく被災と無関係に転入してきた人々が住宅を購入して居住し始めている。さらに、半壊や一部損壊で修復した集合住宅では、被災者の多くが転出し、その住宅は賃貸住宅として供され、相対的に安い家賃のため学生や所得の相対的に少ない人が居住しているのが現状であることが明らかとなった。
すべて 2009 2008
すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)