研究課題/領域番号 |
19401006
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60230786)
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研究分担者 |
馬場 雄司 京都文教大学, 人間科学部, 教授 (10238230)
長坂 格 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (60314449)
片岡 樹 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (10513517)
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キーワード | 国際研究者交流 / フィリピン:タイ:ラオス / 出稼ぎ / 文化人類学 / 教育学 / 保健学 / 子供の教育・生育 |
研究概要 |
平成20年度は前年度の成果を踏まえて、出稼ぎが子供に与える影響に関するより立ち入った調査を進めた。フィリピンでは、渋谷英章[連携研究者]がレガスピ市とソーサゴン州において出稼ぎ者の留守家族への聞き取りを行い、長坂格は出稼ぎ常態化に関する文献調査と、以前施行した世帯調査の資料から出稼ぎに関連するデータを抽出し分析する作業を行った。その結果、子供の年齢・家族構成・収入により原因の類型化が可能であること、子供の教育のための出稼ぎが却って親の見通しと異なった教育状態に繋がる可能性、海外出稼ぎによる経済格差と教育格差の拡大傾向が確認された。タイにおいては、平地農村について、馬場がナーン県で前年度世帯調査に基づき個別の聞き取り調査を行い、木曽恵子[研究協力者]がマハーサラカム県で出稼ぎの変化について調査した。その結果、親の収入職業により出稼ぎ/挙家離村の類型が分かれること、村内組織の出稼ぎ者の子供に対する福祉機能、出稼ぎによる教育格差が明らかとなった。タイ山地農村については、吉野晃がナーン県とパヤオ県の山地民族ヤオの村落において世帯調査と個別の聞き取り、教員への聞き取り調査を行い、片岡樹がチェンマイ市で出稼ぎ者に対して、またチェンラーイ県の山地民族ラフの村落において出稼ぎの変化に関する調査を行って、親の不在の子供に与える影響が村人・教員共に問題として意識されていること、村の状態により出稼ぎの長期/短期の傾向が分かれることを明らかにした。ラオスに関しては、鈴木琴子[連携研究者]がヴィェンチャン近郊農村での現地調査を行い、国内外の経済状態の変化により出稼ぎが減少していることを把握した。総じて、社会構造により差異はあるものの、出稼ぎによる教育格差の拡大傾向や、親の不在が子供の学習・心理に与える影響、子供の扶養・教育に関わる親族外組織の機能などの共通の問題が、今後の調査課題として確認された。
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