研究課題
E.Sモースを中心として、彼の友人であるフェノロサ、ビゲロー等によって収集された19世紀初頭の日本の庶民文化資料(モースコレクション)を、PEM(Peabody Essex Musem)、MFA(Museum of Fine Arts, Boston)で調査した。調査期間は、第1回目:平成19年9月23日〜10月5日、第2回目:平成20年3月23日〜4月6日。墨田区北斎美術館の永田生慈氏、カナダ人映画監督Marty Gross氏からMFAとPEMの日本美術専門の現地学芸員が紹介され、現在までに以下の調査が終わった。(1)PEMのフィリップスライブラリーにあるモース直筆の「Japan Day by Day」すべての閲覧。及び、刊行された同書の照合。その結果、モースが日記を書いた用紙は、当時の日本便箋だったことが分かり、特に楽器の挿絵では、刊行された日記の方に多くの間違いが見つかった。(2)モースコレクション120点の楽器の撮影を終了。PEMで過去に作成した資料と照合しつつ、まだPEMでも行われていない、正しい楽器名のリストと解説を作成中。(3)MFAにおいては、ビゲローコレクションを中心とする北斎の浮世絵原画の全点(約3万点)を閲覧終了。その中で、楽器や音具を描いた資料についてリストと解説を作成中。(4)MFAのモースコレクションには、楽器、音具の資料が所蔵されていないことがわかった。(5)カナダのWhyte Museum of the Canadian Rockiesにも、モース親族が持ち込んだコレクションの一部があり、この調査も必要であることがわかった。平成20年度9月12日-10月1日に第3回目の調査を行う予定。日本音楽関係資料の調査は、日本の音楽学者では私が初めてであることもわかり、MFAでは検索のキーワードに新たに「楽器」の項目が追加され、また、PEMでも楽器についての新たな視点が加えられることになった。
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IAML(International Association of Music Libraries, Archives and Documentation Centres) No.31 ISSN1347-7277
ページ: 9-12