研究課題
これまでの現地調査によるカバ語資料を総合し、語彙リストと形態論的パラダイムを可能な範囲で文書化した。また、現地調査に先立ち、京都滞在中の東コエ諸語研究者であるチェバネ助教授を交えた研究集会を東京で開いた。チェバネ博士の東コエ語派のチレチレ語の調査経験に基づく助言を踏まえ、今後の現地調査のための語彙調査票を作成した。6月に短期間、南アフリカ共和国およびボツワナを訪問し、コイサン言語学者A.トレール教授宅所蔵の未公開コイサン諸語資料のうち本研究に直接関連するものを特定し、それに関連する文書資料や野帳資料とともに借受けて帰国し、効率的な利用のためにデジタル化を開始した(継続中)。また今後の現地調査のための短期サーベイを実施した。9月下旬〜10月上旬にパリで国際会議に参加した(研究代表者によるコエ語族カバ語の語彙に関連する発表:11.研究発表の欄参照)。10月下旬に京都大学(高田明研究室)で、国際学会での発表にかんする報告会を行い、さらに今年度の現地調査に関わる研究打ち合わせを行った。その後、2回にわたる(12月〜1月および3月後半)計4週間程度の現地調査を行った(調査地はハンシー県のニューカデ村およびクケ村)。そして、カバ語の語彙収集とその分析と同時に行う音韻論的分析を実施し、カバ語の音素体系を解明した。さらにグイ語の音素体系との比較を通じて、そこに、コエ音韻史的にもまたコイサン通言語比較的にも極めて重要なクリック伴音の対立を同定した。ボツワナ滞在中に、上記のチェバネ博士に、東コエ諸語の現地調査・録音資料収集を依頼した。帰国後、資料の分析と総合と電子化の作業を行ない、調査資料の偏りや未確認箇所を踏まえて次年度の調査項目作成にとりかかっている。
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Area and Culture Studies (Tokyo University of Foreign Studies) 75
ページ: 87-96
河合香吏(編), 生きる場の人類学:土地と自然の認識・実践・表象過程.京都:京都大学学術出版会
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ASAFAS Special Paper, Globalisation and locality in Southern Africa:Views from local communities. Kyoto:Graduate School of Asian and African Area Studies, Kyoto University No.9
ページ: 75-90