研究課題
以下に要約する本研究の6点のうち、(1)コイサン諸語コエ語族の2つの未記述言語を現地調査する。(2)音韻構造・文法構造の重要な側面と語彙を高い精度で記述する。(3)定説とされていたコイサン諸語コエ語族の系統分類を批判的に検証する。(4)グイ・ガナ語群とナロ語群と東カラハリ=コエ語派の構成言語を再考する。(5)十分な実証的根拠を提示しながら改定案を提案する。(6)カバ語とツェラ語の社会言語学的動態を現地調査し記述する。今年度は、とくに、(3)(4)(5)を進めるのに、最適の機会をもうけることができた。すなわち、5月中旬に海外における研究協力者のベルリン大学のトムグルデマン教授、ボツワナ大学のアンディチェバネ教授とブザニハバナモツェ講師が日本に滞在したので、その期間中に、中川裕と連携研究者の大野仁美とともに京都大学を訪れ、グルデマンによるコエ語族の言語史に関する新仮説をテーマとするセミナーを開き、京都大学のコエ研究者とともに討議を行った。とくに、上記の(3)(4)(5)についての意見交換を詳しくすることができた。主として8月に、連携研究者の大野仁美がドイツのライプチヒおよびケルンに赴き、コエ語の親族名称からみた歴史の解釈にかんする討議をマックスプランク研究所で行い、さらに、アフリカ言語学国際会議に参加した。この学会には中川も参加し、グイ語およびコイサン全体の音韻論的タイプというべき語根の音素配列論的な特色の再解釈に関する発表をした。これは、語根の歴史を新しい視点から考えるための基礎になる。12月~1月に、大野仁美は、ボツワナ共和国カラハリ地区で現地調査を行い、コエ諸語の文法要素の歴史的な比較を行うための資料収集を実施した。2月以降、中川と大野はこれまでの調査結果の分析成果を総合し、もたらされた知見から、グルデマンのカラハリ・コエ言語交替仮説の検討に着手した。
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インタラクションの境界と接続:サル・人・会話研究から(木村大治・中村美知夫・高梨克也(編))
ページ: 358-377
African Study Monographs, Supplementary Issue 40
ページ: 155-177
Working Papers in Corpus-based Linguistics and Language Education 5(未定)
Working Papers in Corpus-based Linguistics and Language Education 3
ページ: 45-52