研究概要 |
スワヒリ語圏における社会言語学的状況の解明を目指すべく,今年度は対象地をタンザニアにしぼってスワヒリ語と民族語の関係を各自が調査し,収集したデータについて共有・討議する研究会を持った。昨年度まではコミュニティに見られるスワヒリ語と民族語の関係すなわち社会言語学的影響を中心に調べてきたが,今年度は民族語自体に見られるスワヒリ語の影響を明らかにするために言語及び変種そのものの記述調査に力を入れた。今年度現地調査を行なったタンザニアの地域と民族語は次のとおりである。 米田(代表者)ルブマ州(西南部)マテンゴ語 竹村(分担者)ザンジバル(島嶼部)スワヒリ語地方方言 以下研究協力者八尾:キリマンジャロ州(北部)チャガ語,阿部:ルクワ州(西部)ベンデ語,品川:アルーシャ州(北部)ルヮ語 またプロジェクトの最終年度であることを踏まえ,本年度は研究成果の発表を積極的に行なってきた。主なものは業績一覧に記したが,それ以外にアフリカ言語研究会やバントゥ諸語研究会等において,プロジェクトメンバー全員が発表を行なった。 さらに,対象地域を含む諸外国の研究機関との研究交流も本プロジェクトの目的のひとつであったが, 今年度はロンドン大学(英国)の主催でボツワナ大学にて開催された「南部アフリカ諸語ワークショップ」において,アフリカ,ヨーロッパ諸国のアフリカ言語研究者たちと研究交流を持つことができた。また3月にはダルエスサラーム大学のタンザニア地域言語プロジェクトと合同で「タンザニアの民族語とスワヒリ語」に関するワークショップを開催した。
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