a 未完本『甲骨文辞』の価値 未刊本『甲骨刻辞』380片の原拓中、発行済みの著録に集録されていることが確認できたのは302件である。78件は未公開資料である。302件の内で、北京大学に現存する甲骨は154片である。 北京大学に現存する甲骨文字は、北京大学と燕京大学の両校が旧蔵する資料を基礎としている。1952年に両校が収蔵する甲骨が一つになり、北京大学歴史系考古教研室の管理となり、1993年に北京大学考古與藝術博物館が建設されると、その資料室の珍蔵とされた。1963-1966年に閻文儒が採拓を行い『甲骨目録』を編集したが、甲骨片の総数は、3022片とされる。これらの購入・受け入れ先の記述については、少しの資料しか残っていない。人名の記録があるものは、1922年に霍保禄蔵品が463件、1929年に容庚が購入した1200件、1936年にはG.A.Hなるものが寄贈したもの(片数不明)がある。 b 北京大学と故宮博物院の古代文字研究 中華民国時代の北京大学・故宮博物院等の北京地区は、古代文物研究のために多くの研究者が行き来していた。甲骨の著録は1933年だけでも容庚『殷契卜辞』・商承柞『殷契佚存』・羅振玉『殷虚書契続編』が編集されたが、馬衡と交流のある人物が個人的な繋がりで故宮の収蔵品整理にも関わっていた。
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