研究概要 |
中国の新彊ウイグル自治区博物館およびトゥルファン博物館が所蔵する非漢文古文書を整理・研究をおこなうにあたって,初年度は次のような研究の実績をあげた。 自治区博物館のイスラピル副館長およびトゥルファン地区博物館の李肖館長をたずね,前年度に基本合意をしていた研究計画について議論をかさね,ドイツのブランデンブルグ科学アカデミーのトゥルファン研究班をも含めて,概略の合意に達したが,なお詳細について検討課題が残った。その中で,当方から両博物館への研究資料の提供を開始し,また1980年にベゼクリク千仏洞から発見されたトゥルファン地区博物館所蔵の非漢文文書については,2度にわたる現地調査によって先方の協力をえながら古文書学的な基礎データを作成し,見本のデジタル画像を入手した。 トゥルファン地区博物館が撮影したこれらの画像の質は高く,将来の出版にも堪えることが判腸し,研究分担者は基本的な読解の試みをはじめることができた。1980年のベゼクリク千仏洞出土の漢文古文献については,ちょうど2007年に文物出版社から『吐魯番柏孜克里克石窟出土漢文佛教典籍』(上・下)として出版された。現地でわれわれが現物をひとつひとつ確認しながら作成した非漢文古文献のデータ(461件)のうち,漢文が同一面に記されたものはごくわずかである。それらについてのみ,当該書のデータは参考になる。この基本データは,今後の研究の基盤になるものとして整備した。 以上の事業・研究の効率化をはかるためにコンピュータ環境を整備し,また関連分野の研究書を揃えた。
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