研究目的-申請時の目的と研究の進捗状況- 日本列島の後期旧石器時代の出自がどこにあるのかという追求過程で、その比較資料を大陸に求める段階に至っていると考えた。すでにわれわれがモンゴルで確認した遺跡の発掘を通して、日本列島の資料との比較資料を確保することを目的とする。 平成19年度の調査:かつてソ連のオクラードニコフ博士らが発掘したヘンティー県アラシャンハダ遺跡を発掘したが、巨大な崩落岩盤に直面し発掘を中止せざるを得ない状態となった。そのため、急遽計画を変更して、遺跡の分布調査を実施し新たな発掘地選定のための候補地を探すこととした。その結果、231遺跡を発見した。 平成20年度の調査:19年度に発見した遺跡の中から土壌堆積の良好と思われるベレフ1遺跡を選定し、9月7日から14日までの8日間で13m^2の発掘調査を実施し、その後遺物整理と一部の資料実測をおこなった。出土遺物は土器片5点、細石刃核11点、細石刃核素材5点、剥片石核125点、細石刃164点、掻器20点、削器60点、石鏃10点、彫器?4点、錐形石器2点、鋸歯縁石器1点、叩石2点、剥片4969点、原石4点など合計5397点となる。 今回の発掘の重要性:土器片は表面に縄文を付したもので、この種の土器が細石刃石器群に共伴した例はモンゴルでは初となる。また同時に細石刃に安定的な形で石鏃が伴うことができたのも、初の事例となる。これらの事実は日本の旧石器文化から縄文文化への移行を考察する上での、貴重な資料となる。一方で、代表者らが追い求めている旧石器時代の包含層の確認には未だ至っていない。さらなる努力傾注する必要を感ずる
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