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2010 年度 実績報告書

北アジアにおける後期旧石器時代成立過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19401031
研究機関札幌学院大学

研究代表者

鶴丸 俊明  札幌学院大学, 人文学部, 教授 (50188645)

キーワード旧石器 / モンゴル / バヤンゴル1遺跡 / シャポー・ド・ジャンダルム / 動物骨 / ダチョウの卵殻
研究概要

当該研究機関の前半2年間は、より日本に近いモンゴル東部を調査地として、遺跡分布調査で217遺跡を発見し、そのうちの1遺跡の発掘調査を実施した。しかし、土壌の発達状況が悪く、ほとんどの遺跡は岩盤が露出するかそれに近い状態であり、発掘した唯一土層条件の良い遺跡では期待した旧石器時代の遺物の発見には至らなかった。そのため、東部においては層位的条件に恵まれた旧石器時代の開地遺跡を望むことは難しいと判断し、調査地をモンゴル中北部のエギン河流域に移して、3年目の調杳に入った。
エギン河流域では6遺跡(旧石器時代遺跡3遺跡)を発見し、そのうちの3遺跡の試掘を実施した。そのうちの一つ、バヤンゴル1遺跡では崖面で、厚いレスと粘土堆積物の中に目的とした旧石器時代の遺物(石刃)を見出すことができた。この出土層準がほぼ3万年年前であること、同時にその剥片に「シャポー・ド・ダンジャルム」と称される中期旧石器時代の技術的特長のひとつが確認されたことから、当該遺跡が研究代表者らの目指す「後期旧石器時代成立過程の研究」に資する良好な遺跡であると判断して、最終年度の発掘調査を企画した。
バヤンゴル1遺跡の出士層準は地表下3.6mと深いことと、急峻な崖に面していることから発掘面積は10m^2と限定的だが、石刃・石核を含む石刃石器群と、大型哺乳類の骨、馬の歯、げっ歯類の骨、ダチョウの卵殻の発掘に成功した。ただし、断面採集した中期的様相を持つ剥片等は出土していない。その理由は、遺跡の谷側が谷の形成時に削られて遺跡の一定部分が破壊されていることによるものと考えられる。当遺跡から4km離れたところに位置するドロルジ1遺跡では、後期旧石器的特長である石刃を主体とした石器群に中期的様相であるルバロワ技法の特徴をもつ剥片が混ざっているとの報告がある(報告書では実測図が少ないため判然としないが)ことから、当遺跡でも同様な特徴をもっている可能性を指摘できそうである。つまり、この遺跡は、試掘と本発掘の結果から、中期旧石器時代から後期旧石器時代の移行期、もしくは後期旧石器時代初頭に位置するもとと判断できるものと思われる。今後、さらに供伴する各種石器類の詳細な把握と、モンゴル東部での同時期の遺跡・石器群の確認を進めることによって、極東さらには日本列島への伝播の可能性を議論する材料となりうると確信する。
現在はこれらの石器分析は終了し、動物骨の分析結果と年代測定結果を待っているところである。それがそろい次第、報告書として刊行することになる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] モンゴル国ボルガン県ハタグホンドル郡バヤンゴル1遺跡の発掘調査2011

    • 著者名/発表者名
      飯田茂雄・大塚宣明
    • 学会等名
      北アジア調査研究報告会実行委員会
    • 発表場所
      札幌学院大学大通りキャンパス
    • 年月日
      2011-03-06
  • [学会発表] なぜモンゴルか?-モンゴルに日本の石器技術の伝統を追う-2010

    • 著者名/発表者名
      鶴丸俊明
    • 学会等名
      日本・モンゴル考古学交流20周年記念事業実行委員会
    • 発表場所
      モンゴル日本センター
    • 年月日
      2010-10-30

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公開日: 2012-07-19  

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