古代エジプトの宗教的拠点テーベの主神であり、エジプトの国家神的存在であった羊の容貌を持つアムン神に対する信仰が如何にして、ナイル河谷から西へ砂漠を約200km進んだ所に存在するカルガ・オアシスにまでたどり着き、そこで土着の人々に受け入れられ、定着していったのか。地理的に離れ、環境的に異なる二つの空間(ナイル河谷と西方砂漠のオアシス地域)における文化の受容過程とその変化の原因を主に碑文史料(カルガ・オアシス周辺に点在するナドゥーラ、エル=グエイタ、エル=ザヤーンなどの神殿遺跡に存在するアムン神を描いたヒエログリフを伴うレリーフ群)と図像資料を用いて明らかにすることが本研究の目的である。
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