研究課題/領域番号 |
19401035
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
丸山 浩明 立教大学, 文学部, 教授 (50219573)
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研究分担者 |
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 准教授 (70296234)
吉田 圭一郎 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (60377083)
仁平 尊明 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (60344868)
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キーワード | ブラジル / パンタナール / 湿地生態系 / ワイズユース / 環境保全 / 内発的発展 / エコツーリズム / パイアグアス |
研究概要 |
本年度は、パンタナールのパイアグアス(Paiaguas)やニェコランディア(Nhecolanaia)地区に甚大な土地の浸水問題を引き起こしている、タクアリ川のポッカ(Boca,自然堤防の亀裂で河川水の外部への流出口)の現状を観察した。今回、実際に調査を行ったボッカは、タクアリ川左岸に開いたボッカドフェーロ(Boca do ferro)である。 1.ボッカデフェーロ周辺河川の年間水位変動は6〜7mに達する。最高水位は2月、最低水位は9月である。ボッカの閉鎖は法律で禁じられているが、牧場主は良質な天然草地の確保を理由にボッカを乾季に砂袋で閉鎖している。 2.ボッカデフェーホは、20年以上前に木やバラ線を使い、凌渫船で土を盛り上げて閉鎖した。そのため、川沿いの熱帯回廊林はそこで突然姿を消して、低い人工的な植生景観に変わる。今でもボッカには砂袋が積まれ水の侵入が防がれているが、その脇にはすでに別のボッカが開いて新たな水の侵入が始まっている。 3.雨季には水位が急上昇して、ボッカから水が牧場内部へと入り込む。タクアリ川の船着き場より約8キロ内陸に位置するFaz.Bela Vistaでは、雨季にはボッカからの水の流入で水深2〜3mのバザンテ(Vazante)が出現し、乾季の道路は雨季にはボートの通路となる。水の侵入で牧草地が減るため、雨季には牛を隣のFaz.Dois Mil Reisまで移動させる。 4.タクアリ川のボッカをめぐる問題は、上流から流入する土砂の堆積に伴う水位上昇と流路変更、漁獲資源の減少に起因しており、上流域(セラード地帯)の農民、河川で仕事をする漁民、そしてパンタナールの牧場主、のそれぞれの利害関係をめぐる三つ巴の衝突の図式を呈している。
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