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2008 年度 実績報告書

太平洋島嶼部における強制移住経験者の歴史認識構築と未来への投企に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19401038
研究機関筑波大学

研究代表者

風間 計博  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (70323219)

キーワードディアスポラ / 歴史的記憶 / 再移住 / アイデンティティ / マイノリティ / 太平洋島嶼部 / キリバス / 文化人類学
研究概要

本研究は、現在キリバス領のバナバ島から、第二次大戦中に故郷を追われ、帰郷を果たせぬままフィジー諸島のランビ島で困窮化した生活を送るバナバ人を主たる対象とする。研究対象の人々が、実地調査時点において、いかに過去の出来事を認識し、それを共有\伝達しできたのか、記念碑建立や創作された歌・踊りにって祖先の経験を再現する歴史表象を手がかりとして、悲劇的歴史に関する集合的記憶の形成及び再生産過程、ナショナリズム醸成過程を考察すること、経験された歴史を踏まえて、調査地の人々が現在時点で、いかに未来を見据えて模索し、投企を決断しているのかを論じることが目的である。ランビ島のバナバ人は、第一の故郷であるキリバス領のバナバ島への帰還1を強く希望している。同時に、ランビ島を第二の故郷と見なし、1945年の初上陸の記念碑を海岸部に建立し、毎年12月15日を中心として上陸を祝う式典やパレード,スポーツ大会、歌や踊りの大会を開催する。式典においてバナバ人舞踊団は、神話時代から英甲による燐鉱石の採掘、第二次世界大戦中の日本軍による侵略と虐殺、ランビ島への移住を歌劇によって表現する七また近年では、老人の語りや神話をまとめた書物がバナバ人を中心に上梓されている。島の学校においても、バナバ人の歴史に関する授業が行われ、世代を超えて記憶の公的な記憶の伝達が行われている。これらの集合的記憶は、均質で直線的な「単一的記憶」であり、その内容を選別し、標準化して固定する。それは、バナバ人エスニシティやアイデンティティを生成させるための強固なイデオロギーを包含しており、他者の排除を厭わない思考を広範に流布させるものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 人類学における生物性の諸相一身体と感情の解放に向けて2008

    • 著者名/発表者名
      風間計博
    • 雑誌名

      社会人類学年報 34

      ページ: 25-50

    • 査読あり
  • [学会発表] キリバス環礁における<もの>と身体の相互関係2008

    • 著者名/発表者名
      風間計博
    • 学会等名
      日本文化人類学会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2008-05-31

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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