研究概要 |
ロシア・西シベリア北部に居住(遊牧)するネネツ民族のトナカイ牧畜文化とその社会的意義の研究のため,平成20年2月下旬より同年4月初めまでの間,現地調査を実施した。調査には本補助金により購入した映像記録機器類を使用,チュメニ州ヤマル・ネネツ自治管区プール地区内で,先住民企業メンバーとして半遊牧生活を送る森林ネネツ族のキャンプと集落に滞在し,トナカイ牧畜を中心とする生業諸活動や社会的諸関係,経済状況,石油・ガス開発との関係の現状を参与観察した。 研究代表者の吉田は,調査の総括,諸関係機関との連絡調整を行うとともに動画,静止画像データの記録,諸情報、資料の収集,聞き取りを行い,ハイビジョンビデオ画像や静止画像による記録を収集した。高倉浩樹(研究分担者)は,静止画像データの記録,キャンプ地、住居の立地データの収集,生業活動や社会的諸関係の聞き取りによる情報収集等に従事し,遊牧キャンプと定住集落との関連,有機的諸関係に関する情報を収集した。また,M.ゼニコ(海外研究協力者)は調査地へのアクセスその他の諸関係機関との連絡調整,集落定住者情報の収集,民族教育活動からみたネネツ民族の生業活動等に関する聞き取り・資料収集に従事した。 また,管区内においては,トナカイ牧畜を含む活動に従事する農業企業,地区郷土博物館,図書館(タルコサレ市,サレハルド市)において,地域経済,地域環壕関連情報を収集した。さらにモスクワ市において,調査対象地域・民族に関する情報の収集(ヤマル・ネネツ自治管区地域基金,ロシア国立図書館)・意見交換(ロシア科学アカデミー民族学・人類学研究所)を行い,次年度以降の継続調査の有意義性についても確認できた。
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