研究課題/領域番号 |
19401041
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
深澤 秀夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10183922)
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研究分担者 |
箕浦 信勝 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (90262211)
飯田 卓 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 准教授 (30332191)
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キーワード | 文化人類学 / 相互行為分析 / マダガスカル / 会話 / 手話 / 言語文化 / マダガスカル語 / 志向性 |
研究概要 |
研究代表者の深澤秀夫は、2009年7月28日~9月28日、2010年2月18日~3月22日の二回、マダガスカルに渡航し、調査研究活動に従事すると共に、マダガスカル側研究者に対する調査結果の報告および本研究主題についての意見交換を行った。初回の渡航時には、マジュンガ市内に居住するツィミヘティ族出身者の家庭内や近隣住民同士あるいは市場における売り手と買い手との間における日常会話、北部マジュンガ州に居住する稲作―牛牧に従事するツィミヘティ族の人びとの村の集会と儀礼における発話および日常の会話を採録した。二回目の渡航時には、国立文明研究所・考古―芸術博物館の民族学専攻の研究員に対し、この3年間の調査資料に基づき、マダガスカル語の会話における指向性の分析方法および民族ごとの差異について報告を行い、意見を交わした。研究分担者の箕浦信勝は、2009年8月21日~9月6日の期間、マダガスカルに渡航し、首都アンタナナリヴの聾学校の教員からマダガスカル手話の文法についての資料を面接調査によって収集した。研究分担者の飯田卓は、2010年1月14日~2月18日の期間、マダガスカルに渡航し、チュレアール地方において漁撈民ヴェズ族の間における挨拶行動を中心とした日常会話および儀礼における形式的言語行為にかかわる資料の採録を行った。これらの実地調査活動から、1)マダガスカル語とマダガスカル手話との間には、文法面での直接的な対応関係は認められないこと、2)マダガスカル手話の地域もしくは聾学校に基づく差異は存在するものの、マダガスカル語各方言の影響は小さいこと、3)会話と言う相互行為における指向性は、マダガスカル語の場合、能動態・受動態・関係態、三つの動詞の態の何れを用いるかに基づいで、判定することが可能であること、4)態の使用頻度に基づく志向性には、民族に基づく差異が存在すると思われるが、その差異が十分に有意であるか否かについては、さらなる検証が必要である。
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