研究課題/領域番号 |
19401046
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
塚田 誠之 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (00207333)
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研究分担者 |
楊 海英 静岡大学, 人文学部, 教授 (40278651)
長谷川 清 文教大学, 文学部, 教授 (70208479)
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60230786)
武内 房司 学習院大学, 文学部, 教授 (30179618)
松本 ますみ 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (30308564)
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キーワード | 中国 / 国境地域 / 民族 / 移動 / 交流 / ネットワーク / 文化動態 / 越境 |
研究概要 |
2008年9月2日・3日、中国昆明の雲南大学にて国際シンポジウム「中国辺境民族の移動・交流・文化動態」を人間文化研究機構連携研究および雲南大学民族研究院と合同で開催した。中国の国境地域における諸民族の移動、交流、ネットワーク構築の実態、それら民族の文化の動態を解明することを目的とし、日中の19名の研究者がそれぞれの観点から最新の材料を用いて報告を行った。本科研からは代表者の塚田をはじめ計4名が参加した。国境を越える民族集団の移動とその文化・アイデンティティに及ぼす影響、諸集団間の交流の実態、諸集団のネットワークの実態、最新の文化の動態に関して掘り下げた検討が行われ、新たな知見が多く得られるとともに、国境を越える民族の研究の必要性が再認識された。日中の研究者が一堂に会し、共同で討論をする機会が実現した点で、国境を越える民族の研究において画期的な意義を持つものである。なお、シンポジウムの成果として代表者の塚田らが中国語の論文集を編集し2009年3月に昆明・雲南人民出版社から刊行され、研究成果を現地に還元することができた。シンポジウムのほか、塚田が広西・ベトナムで、長谷川が雲南で、楊が内モンゴルで、吉野がタイで、それぞれ7-15日間ほどの日程で現地調査を行い、中越国境地域の民族の越境と親族ネットワークの実態、雲南のタイ族地域における寺院・僧侶・村落コミュニティをめぐる社会的諸関係とネットワーク、内モンゴル国境地域での遊牧民の避難などの越境活動の歴史的展開、ユーミエン(ヤオ)の出稼ぎ状況と国内ネットワークの組織状態を明らかにした。さらに武内はフランスの国立海外文書館で植民地期の中越国境地帯における少数民族の動向や在中国ベトナム人コミュニティに関する資料調査を行った。このように2年目に国際シンポジウムの現地での開催と成果の公開をはじめ大きな成果をあげることができた。
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