研究課題/領域番号 |
19401046
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
塚田 誠之 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (00207333)
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研究分担者 |
楊 海英 静岡大学, 人文学部, 教授 (40278651)
長谷川 清 文教大学, 文学部, 教授 (70208479)
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60230786)
武内 房司 学習院大学, 文学部, 教授 (30179618)
松本 ますみ 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (30308564)
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キーワード | 中国 / 国境地域 / 民族 / ネットワーク / 交流 / 移動 / 文化動態 / 政策 |
研究概要 |
本年度は最終年度に当たり、研究の締めくくりとして、まず12月12日に国立民族学博物館で中国から招へいした僧格(西北民族大学)・何明(雲南大学)らをまじえて分担者が集結して国際シンポジウムを実施した。中国南北国境地域の比較を中心に討議が進められ、国境の開放の度合い、生業と流動性、中央政府との関係、漢文化の受容など様々な相違点が指摘された。シンポジウムでは僧格が青海省のカザフ族の政策による移動の実態、何明が中国とビルマとの通婚の実態について研究発表を行った。次に、塚田が広西で、長谷川が雲南で、松本が浙江で、吉野がタイで、楊が内モンゴルで、それぞれ4-17日間ほどの日程で締めくくりの現地調査を行った。広西のチワン族とベトナムのヌン族とは交流を行い同族意識を有するが、血縁関係者や友人など個人の関係のあり方によってネットワークに強弱が見られること、また村落内部の年齢集団による結び付きも強いことが解明された。雲南西双版納において人民共和国成立以降に建設された国営農場に多くの漢族が労働力として移住・入植した経緯、およびそれが地域のネットワークの中心となり得ることが検討された。浙江省義烏市では、内外からムスリムが集結し、彼らのネットワークが構築されていること、またムスリムの職種、コミュニティにおけるメディアや学校教育の実態、さらには宗教意識の変化などが解明された。タイのユーミエン(ヤオ)の間では、漢字テキストや儀礼など伝統文化の伝承において彼らの国内外に広がるネットワークが役割を果たしていることが解明された。内モンゴルでは、人民公社化や文化大革命などの政治運動がモンゴル族の移動と他者との交流に影響を及ぼしたことが解明された。これらの成果を広く発信するために、研究成果報告書『中国南北の国境地域における多民族のネットワーク構築と文化の動態』を刊行した。このように、シンポジウム・調査・成果報告書の刊行によって、3年間の研究を締めくくった。
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