研究概要 |
国連により2001年には,21世紀の国際社会の共通開発目標として「ミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)」を設定した。具体的な数値目標として2015年までに達成する8テーマ,18ターゲット,48指標を掲げている。本研究と関連ある「目標7:環境の持続可能性を確保する」「目標8:開発のためのグローバル・パートナーシップを構築する」の2目標に従い本研究を進める。また,2002年ヨハネスブルグサミットの,地球共同体の持続可能な開発の「基本構成3要素:経済開発・社会開発・環境保全」を相互依存・相互補給して進める。 本研究の目的である・カリマンタン島マレーシア・インドネシア国境地域を現地調査とし,流域周辺の森林・川辺林の破壊・パームオイル大規模プランテーションの調査を進めた。 パームオイルプランテーションによる森林伐採の状況をLahad Datuの現地調査を実施した。2006年1月,サバ政府が全額出資をするPOIC Sabah Sdn Bhdは,バイオディーゼル工場建設のための合弁契約をSuria AmaとEco Solutions Co.Ltd.と締結した。サバ州のLahad Datu専用工業団地では,年間30万tの生産能力を保有するバイオディーゼル工業が建設される。2008年この工場稼働時において,世界最大規模のバイオディーゼル工場となる。 このLahad Datuにおいて,POICの現地調査と衛星画像を利用し分析をした。このPOIC地域はPhase 1,Phase 2区域と順に造成を進めていった。ただしPhase 2の環境アセスメント終了予定は,2006年12月4日であり,最終調印は2007年1月8日と発表されている。しかしすでに2006年7月の時点で大部分の造成が進んでいる状況である。通常EIA終了後調査報告が公開され,プランテーション造成が開始となる。この衛星画像より環境影響評価の最終評価報告書以前に,森林伐採が進められていることが明確になった。 この状況について現地調査を進めた。また,インドネシア・東カリマンタン島,マレーシア・サバ州との国境付近では住民の大規模プランテーション建設の反対運動が起きている。地域文化の立場から,森の民,森の精を守り,生活環境の保護を実施することで,現存する環境資源の保全にも繋がる。このように,国境付近での環境保全の調査をすすめることで,マレーシア・インドネシアの環境保全・環境回復を究明することとなる。
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