研究概要 |
今日「経済発展と環境保全」を両立させることは,1992年「地球環境サミット」における「リオ宣言」を引用するまでもなく地球環境政策の基本目標として掲げられている。また,同時に環境は,地球共同体における「国際的公共財」としての共通認識の重要度が一段と増している。また,1997年にデンバーで開催された主要国首脳会議の共同宣言は,地球規模の課題として「環境」において,「国連・持続可能な開発委員会(CSD)」に対し,森林資源に関する行動計画を立案した。この立案の細目を見ると,地下水管理・流域管理を含めた熱帯雨林を代表とする森林資源の機能管理(保続)のあり方の検討が提起された。2002年ヨハネスブルグ「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」実施計画では,地球共同体の持続可能な開発の基本構成3要素として,(1)経済開発(2)社会開発(3)環境保全を相互依存・相互補強として形成し,また,統合して進める方針とした。また,社会開発の基礎となる「IV.経済及び社会開発の基礎となる資源の保護と管理(地域・国家の能力を高め,生態系保存,土地,水,生物資源の統合的管理の達成)」は,あらゆるレベルで開発途上国を支援すること。又総合的水資源管理及び水効率プランや地表の1/3を覆っている森林資源は,"森林資源の保護と管理=アジア地域の持続可能な森林経営"持続可能な開発の相対的目標として必要不可欠として提案された。各国では森林に関する協調パートナーシップによる「Intergovenmental Panel on Forests(IPF) and the Intergovernmental Forum on Forests(IFF)」行動提案の実施をすることとした。このWSSD実施計画を踏まえて,環境立国・日本は,「持続可能な森林経営を達成するための資金,環境保全において技術移転、貿易及びキャパシティ・ビルディングに関する国際協力」の強化を提唱した。従って,開発途上国が多く抱えている熱帯林については,原材料調達の産業・貿易,都市開発,バイオマス燃料の原料としての大規模プランテーションの原因により以前に増して保護区以外の無差別に伐採がおこなわれている。将来この点は,多方面にわたるパートナーシップを通して各国及び地球規模で持続可能な森林経営と開発に向けた不可欠な目標でもある。本目標に従い,インドネシア・中央カリマンタン州,マレーシア・サバ州の現地調査では,大規模プランテーションによる森林伐採現状,大規模プランテーションの先住民への影響,都市計画地域の森林・水資源との共存,農産物への影響をおこなった。
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