研究概要 |
今年度は,多様な対象地域の比較研究のため,個々人のこれまでの研究蓄積の上に,家族など社会ネットワークやコミュニティの視点を導入し,次年度以降の研究の基礎を固あることに専念した。研究代表者瀬地山は,家族にまつわる規範が就労パターンなどに影響を及ぼす点に着目し,就業が決しで一意的経経済合里性にしたがっ行動ではなく,背後にあるジェンダー規範や年齢規範に深く影響されていることを東アジア諸社会をべースに論じた研究を,学術雑誌および台湾社会学会において発表した上で,ベトナムとの比較研究をスタートさせた。研究分担者中西は,フィリピンの都市低所得層が職業選択にあたって,コミュニティ内の「強い紐帯」を適切に活用しているという観察を得,親族姻族関係,隣近所関係,儀礼親族関係およびその他の社会関係がどのように効いているかについての質問票調査を実施し,コロンビアとの比較においてPolitecnico Grancolombiano主催の学術会議において速報を発表した。研究分担者幡谷は,ヘゴタ市の貧困地区と都市貧困層の出身母村における社会ネットワークの聞き取り調査を行い,次年度以降の橋頭堡を築いた。成果の一部は,博士論文The illusion of community participation:experience in the irregular settlements of Bogota(University College London,2007)においても論じられでいる。研究分担者後藤は,研究協力者樋渡とともに実施する次年度のウズベキスタンにおける社会ネットワークの聞き取り調査の準備に万全を期した.研協力者樋渡は東京大学出版会から『慣習経済と市場,開発-ウズベキスタンの共同体にみる機能と構造』(単著)を出版した.
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