本研究課題の目的は、精神保健サービスの必要がこれまで以上に高まりつつあるにもかかわらず、その提供が極めて限定的な状況にある紛争後のシエラレオネに注目し、地域研究の視点から、特に同国都市部の精神保健の現状とそのサービス向上のあり方に関する複合科学的な基礎調査を実施することにある。 平成19年度については、まず7月にイギリスに出張し、植民地期シエラレオネの精神保健に関する史料を蒐集した。また、8月から9月にかけてシエラレオネで現地調査を実施し、首都フリータウンに位置する、同国唯一の精神医療機関である「シエラレオネ精神科病院」と、やはり同国唯一の民間精神保健リハビリテーション施設である「シティ・オブ・レスト」の2つの施設を調査拠点にしながら、同国都市部の精神保健状況に関する聞き取り調査および資料・データ収集を行った。また、シエラレオネ大学関係者の協力をえて、精神疾患の治療実践を専門とする伝統的治療者に対する聞き取り調査も実施した。 年度後半は、イギリスおよびシエラレオネにおいて収集した情報やデータの整理・分析を行い、研究成果の発表を行った。
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