本研究課題の目的は、精神保健サービスの必要がこれまで以上に高まりつつあるにもかかわらず、その提供が極めて限定的な状況にある紛争後のシエラレオネに注目し、地域研究の視点から、特に同国都市部の精神保健の現状とそのサービス向上のあり方に関する複合科学的な基礎調査を実施することにある。 平成20年度については、8月から9月にかけてシエラレオネで現地調査を実施し、首都フリータウンに位置する同国唯一の精神科専門病院である「シエラレオネ精神科病院」と、やはり同国唯一の民間精神保健リハビリテーション施設である「シティ・オブ・レスト」の2つの機関を調査拠点にしながら、同国都市部の精神保健状況に関する聞き取り調査およびデータ収集を行った。また、カトリック系団体のファティマ・インスティチュートが同国北部の都市マケニに近年開設した精神科クリニックを訪問し、同クリニックにおける治療および支援活動に関する情報を収集した。さらに2月から3月にかけて再度シエラレオネを訪問し、前述した3つの精神保健関連機関においてフォローアップのための現地調査を実施した。
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