本研究課題の目的は、精神保健サービスの必要がこれまで以上に高まりつつあるにもかかわらず、その提供が極めて限定的な状況にある紛争後のシエラレオネに注目し、地域研究の視点から、特に同国都市部の精神保健の現状とそのサービス向上のあり方に関する複合科学的な基礎調査を実施することにある。 平成22年度については、平成22年5月にアメリカ合衆国バークレーでアフリカの薬物依存に関する有識者からの聞取り調査ならびに資料蒐集を実施した。また、平成23年2月にシエラレオネで現地調査を実施し、首都フリータウンに位置する同国唯一の精神科専門病院である「シエラレオネ精神科病院」と、やはり同国唯一の民間精神保健リハビリテーション施設である「シティ・オブ・レスト」の2つの機関を調査拠点にしながら、同国都市部の精神保健状況に関する聞取り調査およびデータ収集を行った。 また、年度後半には、これまでの研究成果を学術雑誌論文および書籍の形で公表するとともに、最終的な成果を総合的にとりまとめた最終報告書を冊子形式で作成し、各方面に配布した。
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