研究課題/領域番号 |
19402012
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
篠田 武司 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20115405)
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研究分担者 |
前田 信彦 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20222284)
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20260812)
斉藤 弥生 大阪大学, 人間科学部, 准教授 (40263347)
北 明美 福井県立大学, 看護福祉学部, 准教授 (60300125)
福地 潮人 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (00412833)
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キーワード | ワーク・ライフ・バランス / ジェンダー平等 / ソーシャル・シチズンシップ / 脱家族化 / 再家族化 / 選択の幅 / 安心社会 / スウェーデン・オランダ |
研究概要 |
本研究は、「ワーク・ライフ・バランス(WLB)」に関して、企業レベルにおいてそれがどのように政策化され、取り組まれているのかを比較的先進的に取り組まれているスウェーデンとオランダを日本と比較しながら、特に金融部門にひとつの焦点をあて調査・研究するものである。本年度は、過去2年にわたる現地調査、ならびにスウェーデンで行ったアンケート調査に基づき研究の成果をまとめることが課題であった。そこで得た知見を要約すれば、以下の点である。(1)政府と社会アクター(労組、経営者団体、女性組織等)が、WLB推進に大きな役割を果たしていること、(2)WLB、女性が働く権利(defamilization)と、男性が家庭に復帰する権利(refamilization)として理解され社会的に合意されていること、(3)両立可能なためにどのような政策を強調するかは国によって違うこと(スウェーデンでは育児施設の充実、オランダでは短時間労働など)、(4)WLBの議論は、ジェンダー平等という視点から議論され、またそれはソーシャル・シチズンシップ概念の見直しという原理的な問いに立ち返り、それが政策化されてきたこと、(5)両国の企業は、WLB推進する行動計画を策定し積極的に取り組んでいること、(6)こうした取り組みは、上記のような深い社会的な合意の中ではじめて可能であること、(7)また、企業はこれをコストとしてとらえていないこと、むしろ多様性は経営にメリットがあると理解していること、などである。全体として、働き、家族をもつ男・女の生きる上での「選択の幅」を広げることが安心社会に結果するととらえられている。そして、日本でも、こうした議論と取り組みが始まっていることに注目したい。
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