当該研究は、タイおよびCLMV諸国(カンボジア・ラオス・ミャンマー・ヴェトナム)におけるMSM (Men having Sex with Men)のHIVならびにSTI感染状況その他を確認するとともに、これに対する各国現地政府・国際機関・研究機関等による対応の内容およびその諸特徴を特定することを目的とするものであり、平成20年度においては以下のような取組を行い、その結果、以下のような成果を得た。 1、前年度に参加した第8回アジア・太平洋地域国際エイズ会議(スリランカ)で収集した資料に加え、今年度参加した第17回国際エイズ会議(メキシコ)で得た最新資料を用いて、現在、エイズ分野の国際協力活動で見られる新しい動きの一つとして、スティグマ・リダクションと呼ばれる新しい概念と手法の概要、その理論的背景について整理し、その結果を日本解放社会学会大会にて発表した。 2、これまでの国際会議参加やカンボジア・タイ現地調査を通じて知己を得た国連教育科学文化機構(ユネスコ)アドバイザーを日本に招へいし、東南アジアにおけるMSMを対象としたHIVならびにSTI予防介入事業の概要、とりわけ当事者NPOを含む関係者が提唱するミニマムパッケージ・オブ・サービスの内容とその限界について検討するセッションを東京と大阪で開催し、当該問題に関心ある、JICAを含む国内の国際協力機関や研究者と知見を交換した。また、東南アジアにおける取組と日本国内における取組を比較し、日本においては関連データの不足が著しいことについての認識を関係者間で共有した。
|