研究課題
19年度は、アジア研究者学会世界大会(在マレーシア・クアラルンプール)で「東南アジアのイスラム学校」という独立したセッションで河野・ジャムハリ(インドネシア・国立イスラム大学シャリーフヒダヤトゥラー校)・ジュルキプリワディ(フィリピン大学イスラム研究所)・カマルニザムアブドゥーラ(マレーシア国立大学政治・国際関係学部)が出席し研究発表をした。参加者は20名ほどで世界各地からの研究者が参加した。この時発表された論文は、Studia Islamikaから2008年12月に出版された。さらに、東京で開催された東南アジア・イスラム学校の研究会議では、フィリピンに伝播したイスラム教の根源を14世紀まで具体的に遡り、聖典コーランの解釈が現地環境に適した形が生まれたがその後のキリスト教の伝来と現代に至るイスラム教の解釈の伝来の結果、環境に適した解釈は追いやられていった過程が報告された。一方、インドネシアでは、イスラム学校のカリキュラムを含む教育方針はインドネシア独自のものが多いが、その一方、現代教育の産業化と国際化に従ってイスラム教育も高度な設備を備えた学校が登場する状態になっていることが報告された。平成20年度は、イスラム学校の生徒に対する世論調査(フィリピン・インドネシア)の結果を東京で開催した国際セミナーで報告をうけ、議論した。フィリピンのムスリム生徒は際だって自らがムスリムであることを教育に求めていたり、また、フィリピンとインドネシアの生徒の違いは、インドネシアがムスリム大多数派としての意見である一方、フィリピンではムスリム少数派としての意見から来ているようであることが報告された。さらに、インドネシアにおけるイスラム過激運動の現状と、過激な学校群の状況についても報告され、この会議には日本の中央省庁からの参加者も多く出席した。
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Studia Islamika Vol. 15, no. 2
ページ: 1-22
アジ研ワールドトレント 7月号
ページ: 2-4