研究課題/領域番号 |
19402021
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古谷 豊 東北大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (00374885)
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研究分担者 |
奥山 忠信 埼玉学園大学, 経営学部, 教授 (40185559)
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キーワード | ジェームズ・ステュアート / 草稿研究 / 重商主義 / スコットランド啓蒙 / ダヴナント / リシュリュー / ヴォルテール / 経済学原理 |
研究概要 |
具体的内容 本研究は経済学の成立期(18世紀後半)に大きな役割を果たした経済学者Sir James Steuart Denham(1713-1780)の未解読草稿資料を解読しデータ化するものであった。取り扱った草稿はステュアートが主著『経済学原理』を執筆する途中の1760年前後に作成した註解資料で、以下の三点である。 1) Notes and Observations on the political testament of Cardinal de Richelieu. 2) Answers to Voltaire's objections against the authentieity of the Cardinal Richelieu's testament. 3) Observations on Davenants writings. 意義・重要性 1) 基礎的研究資料の開拓 : ステュアートは経済学の成立期にスミスやヒュームとは極めて異質な体系を樹立して彼らに強い影響を与え、経済学の成立を理解する上で鍵となる経済学者であるにかかわらずその草稿研究は国際的にも未開拓であった。今回解読しデータ化した資料は経済学史研究上一級の基礎資料でありそれを日本の研究成果として提示できることの意義は大きい。 2) スコットランド啓蒙における経済学の成立と「重商主義」 : フランスのリシュリューとヴォルテール、18世紀初頭イギリスのダヴナント、彼らの思想をステュアートは七年戦争のただなかのドイツでテュービンゲン大学の教授たちと討論しつつ検討していった。これらはいずれもスミスやヒュームとは一面において経済観を異にしており、本草稿資料はステュアートが如何にしていわゆる「重商主義」的経済観を吸収しスコットランド啓蒙の流れのなかでその側面を主張することになったかの解明につながるものである。
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