研究概要 |
本研究は,(1)アジア的な中小地主制度(主として米作農村)とラテンアメリカ的な農園制度.(主としてココナツ,サトウキビ農園)の混在,「(2)都市にこおける大規横なスラムの存在,(3)イスラム社会や少牧民族などの少数社会集団の存在,というフィリピンに固有な特性に着目し,長期の参与観察と質問票調査によって収集したデータを用い,階層別の固有のネットワーク構造を析出することによって,貧困層が有する民衆知をふまえた新しい開発研究の枠組みを構築することである。 本年度は,初年度であるため,マニラ百郡圏,パンガシナン州,南ダバオ州の各調査地域において所得階層別に隣接する複数のコミュニティを選び,コミュニティにおけるネットワーク毎の形成過程のグラフを描くことを目的として,(a)各コミュニティを形成する各家族の属性データ(家計基本データ,移住経路,集団内住民組織役職など),(b)各コミュニティを対象とした地区内外の親族,姻族関係と地区内の近隣関係(Kapitbahay)についての時系列ネットワーク,データにおける基本データを収集することができた。このデータの詳細な分析によって当該ネットワーク構造上の「コミュニティ」の形成過程を把握することが可能となる.さらに,こうしたネットワークが実際にどようにして機熊しているかを,聞き取り調査によって補足した。 これらの調査結果については速報の形で,協力機関であるUniversity of Asia and PacificやコロンビアExternado大学におけるセミナー,国際会議において報告を行った
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