研究概要 |
本研究の第3年度に当たる平成21年度は,次の研究作業を遂行した。 ハンガリーについては,2008年秋に実施した企業インタビュー調査(製造業企業191社及びサービス業企業196社を対象)の結果を用いて,多国籍企業子会社を含むハンガリー企業の所有構造や組織イノベーション活動に関する実証研究を行い,その結果を,海外共同研究者と共に学術誌Competitioに発表した。また,国家税務局提供の大規模企業パネルデータを用いた産業クラスターに関する実証研究も同時並行的に進め,この結果も,査読誌Statisztikai Szemleに受理・掲載された。更に,2009年10月に開催された第3回国際サービス・アウトソーシング会議では,外国直接投資の技術移転効果に関する招待報告も行った。 もう一方の研究対象国であるロシアについては,2005年上半期に実施した企業アンケート調査の諸結果に基づいた実証研究の成果を集約した英語論文集Organization and Development of Russian Business : A Firm-Level Analysisを,英国の有力学術出版社Palgrave Macmillan社から刊行した。研究代表者である岩崎は,同書において,単著論文2点及び共著論文2点を発表した。これらに加えて,ソ連期から現在に至るロシア企業の組織や統治メカニズムに関する変遷を,外国投資家の役割にも注目しつつ論述した共著論文を,ロシア語の査読誌Мир Россииに発表した。 以上に加え,平成21年度は,本研究プロジェクトの応用研究として,欧州連合の東方拡大が,移行経済諸国向け外国直接投資に及ぼす影響を実証的に分析し,その成果を,菅沼桂子氏との共著論文として,UNCTADが主宰する査読誌Transnational Corporationsに発表した。
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