研究概要 |
本研究プロジェクトの最終年度に当る平成22年度は,研究成果の積極的な公表を目指して,次の研究活動を行った。即ち,ロシアについては,平成21年秋から冬にかけて実施した第2次企業インタビュー調査の諸結果と,平成17年第1次調査結果との統合化作業を完了した上で,これら被調査企業のコーポレート・ガバナンスと外国投資家の経営参加との相互関係に関する実証分析を,(1)会社機関(取締役会,執行機関,監査体制)の構造とその決定要因,(2)経営者交代の決定要因及び(3)統治構造と企業生存確率の因果関係という3つの問題関心分野に注意を払いつつ行い,その成果として3点の論文を,Post-Communist Economies他,内外の学術雑誌に発表した。一方のハンガリーについては,同国に進出した多国籍企業の現地法人及びそれらのサブコントラクター企業を主な研究対象とする現地聞き取り調査の諸結果を包含するデータベースの解析,並びに国家税務局から入手した大規模企業パネルデータを用いた多国籍企業の進出や外国直接投資と産業クラスターの形成と発展に関する実証研究を進め,その成果として,European Journal of Comparative Economicsをはじめとする英文雑誌3点及び図書所有論文1点を発表した。また,その他の研究成果は,ミネルヴァ書房から刊行した図書『比較経済分析』に収めた。 以上に加え,岩崎及び海外共同研究者は,平成22年6月に大阪で開催された比較経済体制学会第50回全国大会,同7月にスウェーデンで実施された中東欧学会国際連合(ICCESS)第8回世界大会,翌8月にエストニアで開催された欧州比較経済学会世界大会及び2011年2月に欧州復興開発銀行が主催したロシア経済コンファレンス等において,本研究プロジェクトの諸成果を披露した。
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