研究概要 |
本研究は,フランスの35時間労働の収束方向と、可能な雇用政策を明らかにすることにある。すなわち、(1)35時間労働法(オブリー法)を修正した2005年3月31日の法のインパクトについて、同法の背景にある経団連及び右派政権の主張、小企業や病院における35時間労働制の実施上の問題、左派政党および労働組合の対応を調査研究し、同法が労使関係、賃金、労働時間及び労働市場に与える影響を明らかにしようとするものである。そして、(2)2005年3月31日の法によって労働時間短縮による雇用創出を放棄した政府にとって可能な雇用政策を研究することである。EUにおける市場統合と企業間競争の激化・グローバル化のもとで高失業率に苦しむフランスの場合,ユーロ加盟国であることから財政・金融政策という伝統的な景気刺激策は不可能であり、労働時間短縮による雇用創出に代わる有効な雇用政策が可能であるのか、あるいはすべてを市場に委ねざるを得ないのかという問題について、政府の政策を追跡調査すると共に理論的に検討する。
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