韓国では近年、産業技術革新のテンポが急であり、さまざまな技術分野で、日本企業を追い上げている。かつて日本企業が優位を占めた分野で、なぜ韓国企業が日本企業に追いつき、日本企業との競争で逆転を成し遂げたのか、従来の研究では明瞭ではない。 また、多くの先端分野において、韓国企業が日米の競合メーカーに短期間にキャッチアップしたが、それを可能にした産業技術革新の背景については従来、必ずしも明らかにされていない。 本研究ではこういう問題について、韓国企業で働く日本人エンジニアの役割が大きかったのではないかという仮説を立てている。すなわち、産業技術革新の過程における日本人エンジニアの存在に着目し、彼らの関与無くしては、短期間の技術革新は困難ではなかったかと考えている。技術開発のスピード要因として、外国人技術者の役割に注目するものであり、日本からの技術導入の多い韓国については、特に日本人エンジニアの役割が大きいと推測される。
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