研究概要 |
○調査・研究の概要 北京調査では2007年8月27日〜8月31日の期間に,イトーヨーカ堂,北京東陶,資生堂麗源化粧品有限公司,東芝,北京軌道交通建設管理,アサヒビール,Siemens,Bayerを,大連調査では2007年10月15日〜19日の期間に,ジェイテクト,アルパイン,アルプス電機,TDK,中国華禄・松下の各社での訪問調査を行った。アンケート調査の分析などはまだじゅうぶん行えていないが,インタビューの結果から次のような知見を得た。ほとんどの日系企業において経営のトップは日本から派遣された出向者が就いている。ただし,全従業員に対する日本人出向者の比率は1%未満が大半であり,海外の日系企業としては低い。日本人比率が低い理由の1つは日本と中国の地理的近さである。何か,問題が生じた場合には出張者がすぐ飛んでいくことができる。第2に,言葉の問題が挙げられる。中国における多くの日系企業では日本語の堪能な幹部あるいは社員が少なからず存在する。従って,日本本社や親工場とのやりとりも日本人を介さずに直接中国人社員ができる場合が多い。人事管理の面では,長期雇用を前提にし,職能資格制をベースにした日本型の人事管理が一般的である。給与の格差もほぼ日本並みである(つまり国際比較の上では上下の格差があまり大きくない)。昇進も内部昇進制を重視する企業が多いが,管理者の昇進速度は日本に比べて一般に速い昇進となっている。若い人材の抜擢人事もある。
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