社会的に排除されている人々が、単に経済的困窮のみならず、失業、健康障害、家族問題、債務、依存症など多様な問題を、しばしば重層的に抱えていることは一般に知られている。本研究はこうした問題を解決する諸手段をコーディネートする対人窓口の重要性に着目し、これを「政策の束」モデルとして捉えるものである。とりわけ、雇用政策と社会福祉施策とが地方政府レベルで統合され、一元的な窓口によって提供される可能性、また非政府団体等の地域主体の活動とも連携してそれを実施していく仕組みの可能性について、各国動向を踏まえ調査研究するものである。 本研究はこの目的に即して研究対象地域を、EU加盟諸国、新加盟国(旧東欧圏)、アメリカ、韓国等に設定している。各国における貧困の相と労働市場の状況、社会保障諸政策と労働市場政策の状況把握、これら施策に関する地方政府や非政府組織の役割如何に着目しつつ調査を実施する。またこれら諸外国調査の成果を踏まえ、日本の社会保障政策への示唆を得ることも課題とする。
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