本研究の研究1(横断研究)のアメリカの子どもの葛藤処理方略についての調査を行った。対象となったのは、保育園・幼稚園児94名、小学生93名である。いずれも、親評定と教師評定で測定した。親自身の葛藤処理方略、自己観、しつけ方略を測定した。アメリカの子どもの葛藤処理方略の特徴を、前年度に明らかになった日中韓の子どもの葛藤処理方略の違いと対比させる分析を現在行っている。この分析から、同じ東アジア圏の子どもの葛藤処理方略の特徴をより浮き彫りにできると期待される。子どもの葛藤処理方略の文化差についての結果は、葛藤についての国際誌に投稿予定である。また、親のしつけ方略、親自身の葛藤処理の文化差の分析結果は、21年4月に開催されるSRCD(デンバー)で発表予定である。 本研究の研究2(縦断研究)を開始した。日中韓の3〜6歳児を対象に、追跡研究の1年目のデータ収集を開始した。対象者は、日本の母子99組、中国の母子114組、韓国の母子94組であった。家庭において、子どもの葛藤処理方略の測定、親との相互交渉の観察、親自身の葛藤処理方略、子どもに対するしつけについて面接調査を行った。質問紙のデータは、日中韓ともに入力を終了している。相互交渉及び親面接については、日本の母子のビデオを用いて分析枠組みを決定した。この分析を通して、研究1の結果の確認と日中韓の子どもに見られた葛藤処理方略の違いが生まれるプロセスについての知見が得られると期待される。 幼稚園における仲間との相互交渉を通した葛藤処理の社会化についてもデータを収集した。
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