本研究の研究2(縦断研究)の2年目の測定を実施した。日韓の3~6歳児を対象に、子どもの葛藤処理方略の測定、親との相互交渉の観察、親自身の葛藤処理方略、子どもに対するしつけについて面接調査を行った。対象者は、日本の母子80組、韓国の母子72組であった。中国の2年目の測定は、新型インフルエンザの影響で実施が遅れ、平成22年4月から実施する予定になっている。 研究1の横断データの分析を行った。(1)親のしつけ方略や親自身の葛藤処理方略の比較:自己への関心に関しては文化間の差は小さかったが、他者への関心は中韓の方が日本より高かった。中国の親は子どもとの葛藤を回避しようとする傾向が認められた。この結果は、SRCDにおいて発表された。 (2)、日本の幼稚園における子ども同士の葛藤状況の観察研究を行った。その結果、子ども同士の葛藤においては、規則を利用する解決方略はほとんど用いられていないこと、年少の子どもでは、他児との葛藤状況で保育者の援助を求めるが、年長児では保育者の介入より自分たちでの解決を探るようになること、その発達は、子ども同士の葛藤に対する保育者の行動と関連していた。保育者は、年少児では子ども同士の葛藤を回避するように行動する傾向があるが、年長児になると話し合いを求め、自分たちで解決するように導く傾向が認められた。この結果は、日本保育学会と日本乳幼児教育学会で発表した。 研究2の1年目に収集したデータの分析を開始した。日本の親面接や親子相互交渉だけでなく、韓国と中国の親面接と親子相互交渉の言語化を開始した。
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