本年度は初年度に続き、トランスナショナル・プログラムと留学生移動の事例調査ならびに研究発表を行い、あわせて国際研究交流の拡充を図った。調査としては杉村美紀(2008年8月・マレーシア)のほか、連携研究者の苑復傑(同10月・中国)、杉本和弘(同12月・マレーシア)、羅京洙(2009年2月・韓国)がそれぞれ調査を行い、単に政策研究にとどまらない個別の大学の具体的プログラムの特徴と課題を明らかにすることに努めた。具体的には、トランスナショナル・プログラムに不可欠な高等教育質保証システムの現状、私立カレッジのトランスナショナル・プログラムの事例、海外分校の実態、韓国・中国・シンガポール間の国際連携プログラムの事例の検証を行い、高等教育戦略の実際場面での展開を分析した。また学会での研究発表としては、日本および中国の関連学会等で杉村、Lrong Lim、苑復傑がそれぞれ成果発表を行った。研究交流としては、(1)マレーシア国立高等教育研究所長のMorshidi Sirat教授およびマレーシア理科大学のKim Beng Phar博士の招聘及び研究会開催(6月14日)、(2)中国アモイ大学副学長の〓大光教授および高等教育研究所の陳武元教授を迎えての研究会開催(8月9日)を行ったほか、前年度に続き、香港大学よりAndrey Uroda研究員の来訪(10月16日)を受け、また杉村が9月にはマカオでの学会出張の際に、香港大学比較国際教育センター長Mark Mason博士やEmily Mang研究員を訪ね、国際研究ネットワークの拡充をはかった。こうした一連の活動を基に、年度末には本年度の総括会合を上智大学において開催(2009年2月15日)し、次年度の最終報告書に向けての研究計画と課題を検討した。
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