研究概要 |
本年度は最終年度として、留学生移動と留学生政策の海外調査ならびに学会等での研究発表を行い、あわせて海外研究揚力者を招聘しての研究会合を開催し、本研究終了後も持続発展可能な研究ネットワークの拡充を図った。海外調査としては、代表者である杉村美紀の海外調査(2010年3月、スリランカ)のほか、連携研究者の苑復傑(2009年10月、中国)、杉本和弘(同年11月、オーストラリア、羅京洙(同年12月、韓国)、Lrong Lim(同年12月~1月、マレーシア)、ならびに研究協力者の我妻鉄也(同年10月、マレーシア)の海外調査を実施した。また研究会合は(1) 2009年6月19日、(2) 2009年10月31日、(3) 2010年3月14日(最終会合)にいずれも上智大学で開催し、(1) においては海外共同研究者のAndrey Uroda(香港大)、(2) においてはIrene Tan Ai Lian (UCSI University, Malaysia)及びKoo Yew Lie(マレーシア国民大学)の研究発表を軸に、国境を越えて展開されるプログラムと留学生移動の実態について検討した。 この結果、本研究の計画時に予想したとおり、今日の留学生移動は、アジア・オセアニアの各国政府の政策展開はもとより、各教育機関ならびに留学生個人の戦略性に富んだ国際交流活動に大きな影響を受けていることが明らかとなった。しかもその移動ルートは、従来考えられてきたアジアから欧米先進国への移動にとどまらず、アジア域内、あるいは中東やアフリカなど他地域からアジアへの留学生交流など重層的なものとなっており、グローバル化の進展とともに今後さらに多様化する傾向にあることが新たに明らかとなった。こうした一連の研究成果は、国内外の関連会議でその一部をすでに発表したほか、報告書としてまとめ、今後の当該分野の国際研究ネットワークの拡充に努めることを最終会合で確認した。
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