本観測: 平成20年度と同様の本観測を継続した。 天文・物理解析: 光学閃光探索と近傍超新星探索の早期発見を目指す速攻的な解析とは異なり、天文・物理学上の重要な量の測定や仮説の検定を支えるべき系統的な解析の方針を策定し、基盤を整備した。高効率な観測を継続するほどに統計誤差が減少し、系統的誤差が優勢な状況になってくる。その際、さまざまな較正データの取得とそれらを統合した緻密な解析手法が重要である。データの理解に欠かせない、光学光線追跡を含む検出器の計算機シミュレーションの整備充実も努力した。月例で解析進捗会議を開き、解析の状況を細かく把握すると共に、解析技術上の情報交換、科学的インパクトを最大化する戦略的な方針策定も行った。解析の熟度と学会などでの発表のバランスもこの解析進捗会議にて議論された。解析基盤的なツールは高エネルギー物理で定番のプログラムと天文学で定番のプログラムの両方を使えるようにした。共同研究者のプログラムを有効に共有化できるようにバージョン管理し、ドキュメント化も含めた成員間の透明性を増やすよう努力した。 観測中、観測値脇にある道路をたまに通過する車のライトによる迷光による被害をなくすため、車監視用のCCDカメラを道路にほぼ平行な向きに2方向設置し、遠隔に車を発見して自動的に検出器の電源を落とすなどの安全措置や、雨や霧を高感度に感受して警報するなどのスローコントロールを充実させ、観測効率の改善をはかり、好天時における稼働率99%以上を1年半にわたり維持し続けることに成功している。 全天で雲の占有率の赤外線カメラを用いた計測や、一様な面光源を用いた検出器ゲインフラットの較正などより緻密な解析に向けた実装と解析の充実を促進した。それにより、閃光への感度の理解が一段と正確に理解できるようになった。
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