研究課題/領域番号 |
19403005
|
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
松尾 宏 国立天文台, 先端技術センター, 准教授 (90192749)
|
研究分担者 |
江澤 元 国立天文台, 電波研究部, 助教 (60321585)
大島 泰 国立天文台, 電波研究部, 助教 (40450184)
|
キーワード | 電波天文学 / サブミリ波 / 2次元アレイ / ボロメータ / 超伝導検出器 |
研究概要 |
前年度に引き続き、144素子波長1.1ミリのボロメータアレイAzTECをサブミリ波望遠鏡ASTEに搭載し、南天の高感度サーベイ観測を実行した。特に赤外線天文衛星「あかり」が深探査を行った南黄極領域(ADF-S)に多くの観測時間を投入し、700arcmin^2の領域で0.5-0.7mJy (1σ)という最も広視野の高感度サーベイを達成した。「あかり」の観測データとの比較解析により対応天体の少ないことが明らかとなり、多くのAzTEC天体が赤方偏移2以上であることが示唆されている。銀河団領域の高感度サーベイについてはBullet ClusterおよびRXJ1347-1145領域の解析を進めた。Bullet Cluster領域には非常に明るい遠方のサブミリ波銀河が見つかった。解析の結果、Bullet Clusterが重力レンズ天体となり、遠方の比較的暗いサブミリ波銀河が非常に明るく観測されたことが明らかとなった。 一方、次年度の観測へ向けた観測波長450ミクロンのSISCAM観測装置の評価が進められた。試験搭載時に問題となった交流磁場による干渉ノイズの原因がほぼ解明され、交流磁場に対する磁気シールド対策を施すことおよび検出器の直近に読み出し回路を設置することが重要であることが明らかとなった。また、ASTE望遠鏡についてはサブミリ波帯での観測性能向上を目指してホログラフィー法による鏡面調整および熱変形の原因究明を行い、サブミリ波帯での性能向上を目指している。 SISCAM観測装置による観測はAzTECおよび「あかり」によりサーベイ観測によりその重要度が増している。観測装置の立ち上げを順調に進め、ADF-S領域の遠方天体の解明を目指す。
|