本研究では、中央海嶺系における海底拡大プロセスを規定する要因としてマントル組成(特に揮発性成分と液層農集元素量の変化)に着目し、これらの変化によってメルト供給量(地殻の厚さに対応)がどのように変化し、さらにそれが中央海嶺の構造と拡大様式にどれだけ影響するかを定量的に明らかにすることを目的とする。 1.第2回調査航海の実施(経費はH20年度繰越申請分): 平成22年1月に「白鳳丸」KH09-5航海において南西インド洋海嶺海嶺軸36-37.5°Eの海域を重点的に再調査した。主な観測項目は、音響測深機・重力計・磁力計を用いた地球物理マッピングとドレッジ用いた玄武岩採取(連携研究者:専修大・佐藤暢)である。 2.取得データの解析 2回の航海で得られた各種データの解析を行った。地球物理マッピングデータ(地形・地磁気・重力)から、当該海域の拡大様式と地殻の厚さの時間変化を明らかにした。海底地震計データからは、地震学的な地殻の厚さが推定でき、また微小地震分布が明らかになった(連携研究者:地震研・篠原、千葉大・佐藤利)。海底電位差磁力計データからは上部マントルの電気伝導度構造が得られた(連携研究者:神戸大・島)。採取された玄武岩試料の主成分・微量成分・同位体分析を行い、メルト生成時の溶融程度および溶融の開始深度、マグマ源における液相濃集元素濃度を推定中である(連携研究者:専修大・佐藤暢ほか)。 3.成果の発表 成果は5月の地球惑星連合大会(東京)及びInterRidge-Japan研究集会(10月)等の国内学会で発表されたほか、3本の修士論文・1本の博士論文となった。国際誌への投稿を準備中である。
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